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シンガポールでPPCDLを取った話|学科1回・実技2回落ちた実体験と、かかった費用の全部

申し込みからライセンス発行までの流れ、試験当日に何が起きるか、落ちた原因、実際にかかった費用の内訳。運営者自身の取得記録です。

OCEAN LIFE SG 運営者(PPCDL取得)
シンガポール在住 ・ 最終更新 2026年7月

シンガポールで自分でボートを操縦するには PPCDL(Powered Pleasure Craft Driving Licence) が必要です。取得すれば、ラザロ島やセントジョン島など南部の島々の海域へ、自分の操縦で出られるようになります。

最初に、日本から来た人が一番知りたいであろうことを書いておきます。

日本の1級・2級小型船舶免許は使えません。書き換えもできません。 日本の免許を持っていた僕も、書き換えや免除は使えず、ゼロから取り直しました。

ここが出発点です。

この記事は、実際に取得した本人の記録です。きれいな成功譚ではありません。結果は 学科試験が2回目、実技試験は3回目でようやく合格 でした。実技練習も、スクールに含まれる講習とは別に3回追加しました。

そのぶん、「落ちるとどうなるか」「何が原因で落ちるか」まで書けます。ネット上の情報は制度の概要どまりのものが多いので、当日その場で何が起きるか を中心にまとめました。制度・料金・日程は変更される可能性があるため、受験を検討される方は必ず公式のスクール・試験機関の最新情報をご確認ください。

本記事には、当メディアの運営チーム(NATULABO Pte Ltd)が手がけるヨットチャーター「ONE LOTUS」の紹介を含みます。他の選択肢も同じ基準で紹介しています。詳しくは運営者情報・編集方針をご覧ください。
料金について

掲載の料金・提供内容はすべて執筆・確認時点の目安です。人数・曜日・祝日・シーズンのほか、事業者側のプラン改定などで変更される場合があります。ご利用前に、必ず各事業者の公式サイト・公式情報で最新の内容をご確認ください。

料金・掲載情報の確認日:2026年7月(以降に変わっている可能性があります)

全体の流れ

  1. オンラインでスクール申し込み
  2. eラーニングで予習(指定動画2本は必須)
  3. 座学2日間(土日・各9:00〜17:00)
  4. 実技講習 1日(水・土・日から選択/スクール料金に込み)→ スクール修了証明書を受け取る
  5. セオリーテスト(学科)— 平日の夜(僕のときは火曜)
  6. プラクティカルテスト(実技)— 土曜
  7. オンラインで証明書+顔写真を提出 → 2〜3日後、PDFのライセンスがメールで届く

最短でも、申し込みから取得まで 1〜2ヶ月 は見ておいたほうがいいです。落ちると、そこから一気に伸びます(後述)。

実際にかかった費用:合計 S$1,572

これが一番知りたい情報だと思うので、先に出します。

項目 単価 回数 小計
スクール(座学2日+実技講習1日) S$381.50 1 S$381.50 必須
実技試験 S$163.50 3 S$490.50 必須
学科試験 S$43.60 2 S$87.20 必須
視力検査(クリニック) S$50.10 1 S$50.10 必須
追加の実技練習 S$148.79 3 S$446.37 任意
過去問サイト S$100.00 1 S$100.00 任意
復習用サイト S$16.35 1 S$16.35 任意
合計 S$1,572.02

スクール料金には 座学2日間と、別日の実技講習1日 が含まれます。表の「追加の実技練習」は、それとは別に自分で申し込んだぶんです。

一発で通ったら、いくらだったか

同じ項目を すべて1回ずつ で通った場合は S$903.84

さらに、追加練習も過去問サイトも使わず、必須のものだけで一発合格した場合は S$638.70 です。

金額
僕の実績(学科2回・実技3回・追加練習3回) S$1,572.02
全部1回ずつで通った場合 S$903.84
必須のものだけで一発合格した場合 S$638.70

つまり 落ちたことで S$668 余計にかかっています。 金額だけの話ではありません。後述するとおり学科も実技も実施日が限られていて、1回落ちるだけで次の受験まで1〜2週間空きます。時間の損失のほうが大きい というのが実感です。

料金は取得当時(2026年前半)のもので、スクールや試験機関により異なります。最新の金額は必ず公式サイトで確認してください。

① スクール申し込みとeラーニング

僕が受講したのは TBSA(The Boat Shop Asia) のコースです。TBSAは RSYC(Republic of Singapore Yacht Club)と ONE°15マリーナ を会場にPPCDLコースを実施しています。申し込みは オンライン で完結します。

なお、MPAが認定しているのは「会場(センター)」で、そこでコースを実施する事業者はいくつかあります。どのスクールがどの会場で開講しているかは変わりうるので、申し込み前に各スクールとMPAの最新案内を確認してください。

申し込み後すぐにスクールのサイトにログインできるようになり、eラーニングで事前予習ができます。 スライド資料と動画が項目ごとに分かれていて、1項目あたり3〜5分程度。見終わるとチェックが付くので、どこまで進んだかが一目でわかる仕組みです。

スクール当日までに、指定された動画2本は必ず見ておく必要があります。 これは「推奨」ではなく前提として進むので、見ていないと初日から置いていかれます。

ここでやっておくべきこと

  • 指定動画2本(必須)
  • eラーニングは全項目やっておく。座学2日間はスピードが速いので、初見だときつい
  • 視力検査 をクリニックで受けて証明書をもらっておく(学科試験の受付で必要)

② 座学2日間

土日の2日連続、各日 9:00〜17:00。 丸2日、週末が潰れます。

内容はeラーニングの範囲を実際に講義形式でやっていくもの。ここで理解が追いつかないと、学科試験でそのまま落ちます。

③ 実技講習(1日・スクール料金に込み)

座学2日間が終わったあと、別日に実技講習を1日受けます。 ここまでがスクール料金(S$381.50)に含まれます。曜日は選択制でした。

曜日 時間
水曜 8:30〜15:00
土曜 11:30〜18:00
日曜 8:30〜15:00

僕は水曜に受けました。

この講習が終わると、スクール修了証明書がもらえます。 この証明書がないと学科試験の予約ができないので、ここが最初の関門です。

なお僕は、実技試験に2回落ちた結果、この講習とは別に、有料の実技練習を3回追加しました(S$148.79 × 3)。MOBと着岸は、講習の1日だけで身につくものではありません。 最初から追加練習を見込んで予算を組んでおいたほうが、結果的に安く済む可能性が高いです。

④ セオリーテスト(学科試験)

予約が最大のボトルネック

修了証明書を受け取ると、専用サイトから 学科試験の予約ができるようになります。

そしてここが厳しいところなのですが——

僕が予約した時点で選べたのは、火曜夜の 19:00〜20:00 と 20:00〜21:00 の2枠だけでした。

会場は ドーバー駅前のシンガポール・ポリテクニック です。

実施機関(Singapore Polytechnic)の公式案内では、学科試験は 火曜または木曜 の19時・20時と記載されています。実際に選べる枠は時期や空き状況で変わるため、予約時に必ず最新の枠を確認してください。 以下は、僕が受験した2026年前半の状況として読んでください。

落ちると、次は約2週間後

僕は1回目で落ちました。そこから次に受けられたのは 約2週間後 です。翌週の枠はすでに埋まっていました。

この2週間が、思っていたよりこたえます。会場までの往復の時間と交通費に加えて、「忘れないように勉強を続ける」という状態がずっと続くからです。

僕がやり直すなら、同じ日に2枠取れないか確認します

1枠目で落ちてもその日のうちにもう一度受けられるなら、この2週間を丸ごと節約できます。もし戻れるなら、僕はまずそれを問い合わせます。

ただし、これは 僕が実際に試した方法ではありません。 真似する前に、次の2点をSingapore Polytechnicへ確認してください。

  • 同じ日の2枠目で受け直せるのか(運用として可能かどうか)
  • 重複予約は返金されない とされているので、1枠目で合格したら試験代 S$43.60 は戻らない前提でよいか

S$43.60を「保険料」と見るかどうかは人それぞれです。僕は2週間待ったあとで「確認しておけばよかった」と思いましたが、確認せずに2枠押さえることはおすすめしません。

当日の流れ

  1. パソコンルームのような部屋に集合
  2. 受付で ビザの番号 / スクール修了証明書 / 視力検査の証明書 を確認される
  3. 好きなパソコンの前に座る
  4. 時間になるとパスワードが伝えられ、ログインしてテスト開始
  5. 30問中26問以上正解で合格
  6. 全問答えて見直しをし、「終了」ボタンを押すと その場で点数と合否が表示される
  7. 終わった人から順に帰ってOK

合否が即座にわかるので、待たされるストレスはありません。ただし、その場で落ちたとわかるので、精神的にはなかなかきついです。

⑤ プラクティカルテスト(実技試験)

ここが本番です。僕はここで2回落ちました。

日程

毎週土曜。僕のときは 9:00 と 11:00 の枠から選びました。

公式案内では 9:00 / 11:00 / 13:30 の3つの時間帯が挙がっていますが、そこには「通常は(usually)」と付いており、「実際のスケジュールは毎週初めに予約システムで公開される」とされています。つまり週によって開く枠は変わります。予約画面で実際に選べる枠を確認してください。

会場は Poly Marina(50 West Coast Ferry Road)。RSYC(Republic of Singapore Yacht Club)の真横です。学科試験の会場(ドーバー駅前のシンガポール・ポリテクニック)とは別の場所なので、間違えないでください。

早い時間帯のほうが風が弱く船の動きが少ないため、9:00枠のほうが有利 とされています。選べるなら9:00を取ってください。

試験内容は2つ:MOB と バーシング(着岸)

受験者は 3〜4人のグループ に分けられ、それぞれのグループに試験官が1人つきます。

当日の流れ

  1. グループごとに、停泊している小型ボートへ向かう
  2. 安全チェック・装備品の確認(試験官によって細かさが違う)
  3. ロープを外して離岸
  4. 最初に任命された人 が、離岸から試験海域までボートを運転する。そのままその人がMOBの1番手に入る
  5. 交代しながら、全員がMOB を実施
  6. 次にバーシング(着岸)。場所と、スターボードサイドかポートサイドかは試験官が決めます。 これも全員が交代で実施
  7. 停泊場に戻して着岸
  8. 教室へ移動

★一発不合格の条件★

バウ(船首)またはスターン(船尾)を接触させると、20点減点=その場で不合格。 MOBについても同じ基準です。

そしてここが精神的にきついのですが——

MOBで不合格になっても、試験は終わりません。 全員が終わるまで、そのままボートに乗り続けることになります。落ちたと自分でわかっている状態で、あと1時間近く他の人の試験を見ている。これはかなり効きます。

合否の伝えられ方

ボートを停泊場に戻し、教室に移動したところで、不合格の人はここで解散 になります。

合格者だけが残り、1人ずつ口頭試問 に進みます。

口頭試問で聞かれること

  • 昼と夜の船のライト、形象物のパネル を見せられ、「どういう状況か」「どういう船か」を答える
  • アンカリングの注意点
  • 制限視界(restricted visibility)での注意点
  • ブイの意味
  • フラッグの意味
  • 追い越しのルール

僕の場合は 5分程度 で終わりました。ただ、僕の前に入った女性は 20〜30分 かかっていたそうです(部屋から出てきて「受かった」と教えてくれました)。

答えるスピードの差もあると思いますが、試験官によってかなり差が出る部分 です。

運の要素は、正直あります

MOBもバーシングも、試験官によって厳しさが違います。

1回目の実技試験のとき、試験場のセキュリティの人から「今日の試験官は厳しい」と教えられました。結果、その日は8人受けて、誰も合格しませんでした。

これは「だから諦めろ」という話ではなく、1回で受かる前提で予算とスケジュールを組むと詰む、という話です。運の要素がある試験なので、2〜3回受ける前提で計画してください。

⑥ ライセンスの発行

実技試験に合格すると、再び 証明書 がもらえます。

そのあとの手続きはオンラインです。

  1. 証明書のデータをアップロード
  2. パスポートサイズの顔写真 のデータをアップロード
  3. 2〜3日後、メールで PDFのPPCDLライセンス が届く

2024年9月1日以降、物理カードの新規発行は停止されています。 ライセンスはデジタルで発行され、PDFとして受け取ります。

これから受ける人へ:僕がやり直すならこうする

  1. eラーニングは全部やる。 指定の2本だけ見て座学に臨むと、初日から苦しい
  2. 視力検査は早めに済ませる。 学科の受付で必要になる
  3. 学科の予約前に、同じ日に2枠取れるかSPへ確認する。 落ちると2週間空くので、可能なら検討の価値あり(僕は確認しませんでした)
  4. 有料の追加練習を最低1〜2回は見込む。 講習の1日だけでは着岸の距離感が身につかない
  5. バウとスターンを絶対に当てない。 これだけで一発アウト。速度を落として、当てるくらいなら何度でもやり直す
  6. 落ちる前提でスケジュールを組む。 実技は土曜のみ、学科は火曜のみ。1回落ちるだけで1〜2週間飛びます

よくある質問

日本の小型船舶免許を持っていれば免除されますか?

免除されません。1級・2級を持っていても、PPCDLをゼロから取得する必要があります。MPA認定スクールの案内でも、外国・国際ライセンスはシンガポール水域でPPCDLの代わりにはならないと説明されています。シンガポール港内は世界有数の過密海域であり、制限区域や現地水域の知識を試験で確認する必要があるためとされています。ちなみに逆も同じで、シンガポールのPPCDLは国際的に通用しない、シンガポール港内限定のライセンスです。

PPCDLがあれば、どこまでの船に乗れますか?

シンガポール港内で、全長24m未満のプレジャークラフト(SZ/SZH登録のレジャー用動力船)を操縦できます。24m以上には上位資格のAPPCDL(Advanced PPCDL)が必要です。

英語が不安ですが大丈夫ですか?

筆者が受けたのは英語のルートで、学科試験・口頭試問とも英語でした。出題される用語は範囲が決まっているので、eラーニングと過去問で覚えれば対応できます。筆者は日本語話者ですが取得できました。英語以外で受けられるかは、スクールとSingapore Polytechnicの案内で確認してください。

視力検査で引っかかることはありますか?

色覚も見られます。灯火の色(紅・緑・白)を識別する試験なので、ここは制度の趣旨としても外せない部分です。

車の免許(BTT)も必要ですか?

関係ありません。別制度です。

参考にした公式情報

制度・日程・料金は変わります。この記事は2026年前半に取得した個人の記録なので、受験前には必ず以下の公式情報で最新の内容を確認してください。

免許を取らずに、船に乗るという選択

ここまで読んで、「思ったより大変だな」と感じた方もいると思います。

実際、費用は S$639〜1,572、期間は1〜2ヶ月、週末は数回潰れます。自分で操縦したい人 にとっては価値のある投資ですが、シンガポールの海を楽しみたいだけ なら、免許は必ずしも必要ありません。

キャプテン付きのチャーターであれば、免許なしで今週末から海に出られます。予約から乗船までの流れは ヨット予約〜当日の流れ完全ガイド に、出航拠点の様子は ONE°15マリーナ周辺ガイド にまとめています。

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貸切ヨットを検討するなら、ONE LOTUS

当メディアの運営チームが手がけるヨットチャーターです。他社と同じ基準で紹介していますので、比較したうえで選択肢の一つとしてどうぞ。

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